「アルゼンチン大統領は、送配電設備の老朽化が進んでいること、現在および将来の需要ニーズへの対応が不十分であること、送配電網の更新や拡張が行われていないことから不都合が深刻化していることを理由に、電力・ガスの送配電部門における「緊急事態」を宣言した。新政令は、エネルギー部門への投資を保証する試みとして、エネルギー料金の見直しの枠組みを提供し、2024年1月1日付で、国家電力規制機関(ENRE)と国家ガス規制機関(ENARGAS)の介入を盛り込んでいる(ENREとENARGASは、一過性の料金値上げと定期的な価格調整を承認することができる)。
アルゼンチンの電力料金は、補助金と約10年間の料金凍結により、ラテンアメリカで最も安い。産業用ではブラジルやチリの約5倍、家庭用では約6倍安い。電力とガスの分野では、民間企業が請求する料金はコンセッション契約で固定されている。民間の試算によると、エネルギーと運輸の補助金は2022年の国家予算に120億米ドルをもたらし、ガス代と電気代をコストの15%以下に抑え、ネットワークへの投資を抑制している。今回発表されたエネルギー価格の引き上げは、アルゼンチンのインフレ率を200%近くまで押し上げる可能性がある。
エネルギー部門に関するこの政令は、新大統領が発表した一連の措置の一部であり、価格統制法や、公営企業の民営化を妨げる規制などの撤廃が含まれる(国営企業体制の廃止)。すべての国有企業は株式会社に転換され、その後民営化される。これは、原油生産量のほぼ40%(2021年)を支配する国営石油・ガス会社YPF(Yacimientos Petrolíferos Fiscales、51%国営)に影響を与えるだろう。2012年、YPFの投資不足と炭化水素生産量の減少を理由に、政府はスペインのエネルギーグループ、レプソルが所有するYPFの株式51%を差し押さえた。2014年、レプソルは51%の株式に対する補償として50億米ドルの和解金を承認し、残りの12%の株式を約13億米ドルでモルガン・スタンレーに売却した。
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